語尾の発音 [ヨハネ受難曲]

2011年6月24日の練習

まずは、39番から。

39. 合唱
Ruht wohl, ihr heiligen Gebeine,
Die ich nun weiter nicht beweine,
Ruht wohl und bringt auch mich zur Ruh!
Das Grab, so euch bestimmet ist
Und ferner keine Not umschließt,
Macht mir den Himmel auf und schließt die Hölle zu.

とにかく、子音をはっきりと。
ソプラノ、最初のihrの音をずり上げて入らない事。
und bringt auch mich zur Ruh!

bringtの-gt
auchの-ch
mihの-chなど、語尾の発音をはっきりと。

次に40番
40. コラール
Ach Herr, laß dein lieb Engelein
Am letzten End die Seele mein
In Abrahams Schoß tragen,
Den Leib in seim Schlafkämmerlein
Gar sanft ohn einge Qual und Pein
Ruhn bis am jüngsten Tage!
Alsdann vom Tod erwecke mich,
Daß meine Augen sehen dich
In aller Freud, o Gottes Sohn,
Mein Heiland und Genadenthron!
Herr Jesu Christ, erhöre mich,
Ich will dich preisen ewiglich!

どのパートも音楽性が問題。

バスEngeleinの-geleinを押さない。

次に、
25b. 合唱
Schreibe nicht: der Jüden König,
sondern daß er gesaget habe: Ich bin der Jüden König.

そして、先生のエヴァンゲリスタ

フラットが一つ増え、26番コラールの入り。

26. コラール
In meines Herzens Grunde
Dein Nam und Kreuz allein
Funkelt all Zeit und Stunde,
Drauf kann ich fröhlich sein.
Erschein mir in dem Bilde
Zu Trost in meiner Not,
Wie du, Herr Christ, so milde
Dich hast geblut' zu Tod!


27b. 合唱
Lasset uns den nicht zerteilen,
sondern darum losen, wes er sein soll.

wes er sein soll. は、はっきりと。
その前のリズミックな感じと区別して。

28. コラール
Er nahm alles wohl in acht
In der letzten Stunde,
Seine Mutter noch bedacht,
Setzt ihr ein' Vormunde.
O Mensch, mache Richtigkeit,
Gott und Menschen liebe,
Stirb darauf ohn alles Leid,
Und dich nicht betrübe!

このコラールは、十字架上のイエス様の言葉を元に、
作られています。
もうちょっと、音程の調整、響きの調整をしたいと、先生。

楽しかった、箱根の合宿の様子は、
また、次回に・・・♪

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オルガンに合わせる [ヨハネ受難曲]

2011年6月17日の練習

前回から、半音下げた練習になっていますが、
今日は、Ⅰ部1番から。

会場が、今回お隣の部屋になり、
ベーゼンドルファーとオルガンのある、
贅沢な環境・・・。

やっぱり、さち先生の弾く、ベーゼンの音は違います(*^_^*)

まぁ、しかし、我々の声は相変わらずなんですけどネ(^^;

それでも、いつもより丁寧に歌えた気がするのは、
気のせいでしょうか・・・ちょっとゆっくりめに、
福島先生は振って下さいました。
合唱に被さる、美しいオーボエの音・・・と思ったら、
福島先生のお声でした。
いや~、素敵素敵。本物のオーボエのように美しい。

美しいといえば、福島先生のお声で、ベーゼンドルファーが
鳴るのですよ・・・共鳴するのです。
なんと美しい。
私は、それを聴いて、思わずひとり、声に出してしまいました。
「ああ、美しい・・・」

こんな美しい環境・・・
コラールを歌うのに、オルガンをさち先生は弾いてくださり、
もう、雰囲気は、ばっちりです。

で、我々の歌ですな。

むむむ。

第1部
1. 合唱
Herr, unser Herrscher, dessen Ruhm
In allen Landen herrlich ist!
Zeig uns durch deine Passion,
Daß du, der wahre Gottessohn,
Zu aller Zeit,
Auch in der größten Niedrigkeit,
Verherrlicht worden bist!


bistや、Verherrlichtの語尾が抜けるので、
tの発音はくっきりと。

Zeigの語尾をtと歌っている人がいるので、
気をつけて。

最後のbistのD-durのⅠの和音は輝かしく。
D-durは、神を現す調なので。


3. コラール
O große Lieb, o Lieb ohn alle Maße,
Die dich gebracht auf diese Marterstraße
Ich lebte mit der Welt in Lust und Freuden,
Und du mußt leiden.


Liebのみ、フェルマータとどまります。
愛ですから。
これは、オルガンと相まって、素敵に響きました。

5番、11番と進み、
14番
14. コラール
Petrus, der nicht denkt zurück,
Seinen Gott verneinet,
Der doch auf ein' ernsten Blick
Bitterlichen weinet.
Jesu, blicke mich auch an,
Wenn ich nicht will büßen;
Wenn ich Böses hab getan,
Rühre mein Gewissen!

アルトのzurückの-rückの音を感じて。

最後に、前回やり残したコラール40番

40. コラール
Ach Herr, laß dein lieb Engelein
Am letzten End die Seele mein
In Abrahams Schoß tragen,
Den Leib in seim Schlafkämmerlein
Gar sanft ohn einge Qual und Pein
Ruhn bis am jüngsten Tage!
Alsdann vom Tod erwecke mich,
Daß meine Augen sehen dich
In aller Freud, o Gottes Sohn,
Mein Heiland und Genadenthron!
Herr Jesu Christ, erhöre mich,
Ich will dich preisen ewiglich!

最後なので、振り返るように。
みんなの歌うのは、
ちょっと元気がありすぎる、と福島先生。

さて、合宿までに、
気をつけて歌えるでしょうか・・・。

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半音下がる [ヨハネ受難曲]

2011年6月10日の練習

前回、2部の21番まで行きましたので、その続きかと思いましたら、
今日は、何と、また2部の頭に戻りました。

それも、ピリオド楽器対応なので、ピアノで半音下げての練習です。

そ、そんな難しいことを・・・
特に、ピアノを弾かれるさち先生は、大変でしょう。

しかし、さち先生は、美事にクリアなさっていました。
うかがったお話によりますと、
学生時代、ソルフェージュのハイレベルな問題で、
平均律の一曲を3度下げて弾きなさい・・・な~んていう、
課題があったのだそうな・・・。

そんなの、何の意味があるのだろう・・・と学生時代の
さち先生は思ったそうですが、
ここに来て、半音下げたヨハネ受難曲のピアノパート演奏が来て、
何事もやっぱり、意味があるのだと・・・(^^)

という事で、我々も戸惑いながらの、
半音下げた練習でした。

福島先生は、「言わなかったら気がつかなかった?」なんて、
冗談をおっしゃいましたが。

ソプラノは半音下げてしっとりした感じに慣れること。
アルトは、低いけれども、響きをなくさないで。
直接出すと、遠くまで届かない、響きの無い声になりやすいので、
注意すること。

今回練習した曲は、

第15曲:Christus, der uns selig macht
第16b曲:Wäre dieser nicht ein Übeltäter
第16d曲:Wir dürfen niemand töten
第17曲:Ach großer König
第18b曲:Nicht Diesen, Diesen Nicht
第22曲:Durch dein Gefängnis, Gottes Sohn
第23b曲:Lässest du diesen los
第23d曲:Weg, weg mit dem
第23f曲:Wir haben keinen König denn den Kaiser
第25b曲:Schreibe nicht: der Jüden König
第26曲:In meines Herzens Grunde
第27b曲:Lasset uns den nicht zerteilen
第28曲:Er nahm alles wohl in acht
第37曲:O hilf, Christe, Gottes Sohn 
第39曲:Ruht wohl, ihr heiligen Gebeine

かなり、歌いました。

16d Wir dürfen niemand tötenの
テナー、半音づつ上がっていく一音一音を、
棒のようではなく、球のように膨らませて。

79小節目から始まるバスのEの音は、
地響きのように、オルガンで言えば、足鍵盤で、一音を
ゴーーッと鳴らしている感じで。

ソプラノはもっと、しなやかに、フレーズを捕らえて、
同じ音量のままで、一直線に歌うのではなく、
所々膨らませて、しなやかに。

17番コラール
縦の線は、きちっと合すけれども、
横の流れは一直線ではなく、しなやかに。

23d Weg, weg mit dem
これは、半音下げた為、ソプラノの入りが崩壊しました。
音を高くとってしまう人が続出。
しかし、練習の末なんとかなった模様です。

23f Wir haben keinen König denn den Kaiser
これは、17小節、4拍目で入る keinen Königからのフレーズを
揃えて、力強く。

39番 Ruht wohl, ihr heiligen Gebeine
これは、やっぱり半音下がった混乱で、
112小節からのソプラノが、
4音も高く出てしまい・・・

またまた、混乱の最終練習曲になってしまいました。

けっこうこの半音、問題です。

次回練習は、第一部を半音下げて、練習・・・。

さて、どうなりますことやら。

それから、ジングのI川さんが、
ジングフェラインのHPにJ. S. Bach《ヨハネ受難曲》演奏法という題で、
これまでの練習法をまとめて下さった、素晴らしいレポートがあります。
こちら、団員の方は、ご覧になれますので、
是非、読んでくださいネ♪



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ピラトとの対話 [ヨハネ受難曲]

2011年6月3日の練習

15番コラールから。

15. コラール
Christus, der uns selig macht,
Kein Bös' hat begangen,
Der ward für uns in der Nacht
Als ein Dieb gefangen,
Geführt für gottlose Leut
Und fälschlich verklaget,
Verlacht, verhöhnt und verspeit,
Wie denn die Schrift saget.

私たちに幸せをもたらすキリストは
何の悪事もしていないのに、
私たちの代わりに、夜中に
盗人として捕らえられました。
神を恐れない人々の前に連れだされ
虚偽の罪で捕らえられ、
嘲られ、侮辱され、唾を吐かれました。
それは聖書が語っているとおりなのです。

・・・・・・・・・・・・・・

最初から、今日はなんだかみんな低めだねぇ、
と先生はおっしゃって、
ちゃんと、音を聴いて!と、注意なさいました。

歌っていくうちに、普通くらいに戻っていきましたが、
たしかに、録音を聴くと、とっても低いし、
フェルマータに向うフレーズ感も無いですね。

それでも、少し調子が出てきたのか、
なんとか、通りまして、次の曲へ・・・

先生のエヴァンゲリスタ・・・
ピラトとの音色を使い分ける、先生は、
やっぱり凄いです。

そんなこと言っているうちに、
我々の出番。

16b. 合唱
Wäre dieser nicht ein Übeltäter,
wir hätten dir ihn nicht überantwortet.

「この男が罪人でなかったら、
あなたに引き渡したりはしていない」

この入りが難しくて・・・
準備をちゃんとしておくように、先生に何度も言われました。
唐突でもいけない、しかし、立ち上がりが遅くてもいけない。

同じような注意を、次の曲でも言われました。

16d. 合唱
Wir dürfen niemand töten.

「私たちには人を殺す権限がない」

まずは、入りをくっきりと。
ソプラノらしい美しい響きも無くさないで、

tötenは、トゥーにならないように・・・
それならば、テの方がましだというお話です。

ソプラノ55小節-tenはちゃんと到達すること。

次のエヴァンゲリスタを先生は歌って下さり、
イエスのパートも歌われました。

(イエス)「私の国はこの世のものではない。
もし、私の国がこの世のものであったら、
私のしもべ達が戦い、
私がユダヤ人に引き渡されないようにするだろう。
しかし いまは私の国はここにはない」

ここ、素敵なメロディのある、イエス様のレチタティーボです。
私のしもべ達が戦い・・・という場所に、バッハは、
動きのあるメロディをつけました。
演劇的です。

前々回の、
「ナザレのイエス、ユダヤ人の王」
みたいですね。

この・・・私のしもべ達が戦い・・・
という個所は、武装した天使たちの姿が見えるような
凛々しい音楽です。
先生も、少し勇ましく、そこを歌われていました♪

それで、次のコラール

17. コラール
Ach großer König, groß zu allen Zeiten,
Wie kann ich gnugsam diese Treu ausbreiten?
Keins Menschen Herze mag indes ausdenken,
Was dir zu schenken.


Ich kann's mit meinen Sinnen nicht erreichen,
Womit doch dein Erbarmen zu vergleichen.
Wie kann ich dir denn deine Liebestaten
Im Werk erstatten?

ああ あらゆる時代にわたって偉大な王よ、
どうすれば あなたの正しさを十分に伝えられるでしょうか?
どんな人の心も、あなたに何を捧げればばいいか
思いつくことはできません。

私にはできません、
自分の心持を あなたの憐れみと比べることなど。
一体どうやって 私があなたの愛の業に
行為で返すことが出来るでしょうか?

・・・・・・・・・・・・・・
バスは、歩むように歌うこと。
力が入っていると、ろくな事にはならないです、と先生。
力が入ってても気がつかない人が多いけど、
まずは、気がついて。
それから上半身の力を抜いていくこと。

それから、

先生は、エヴァンゲリスタのパートと、
ピラトとイエスの対話をお歌いになりました。

18.Bibeltext

ピラトはイエスに言った。
(ピラト)「それでは おまえはやはり王だというのか?」
イエスは言った
(イエス)「あなたの言うとうり、私は王だ。
私は真理を示すために生まれ、
この世に来た。
真理から出た者は、私の声を聞く」
ピラトはイエスに言った。
(ピラト)「真理とは何か?」

ピラトはこう言うと、
再びユダヤ人たちの前に出て
彼らに言った。
(ピラト)「私は彼に 何の罪も見いだせなかった。
ところで、私がおまえたちの中の一人を釈放するのが、
お前たちの慣習になっている。
望むのなら、このお前たちの王を釈放するが?」
すると彼らは叫んで言った。
18b.
Nicht diesen, sondern Barrabam!

「その者ではなく、バラバを!」
・・・・・・・・・・・
罪深い部分です。
ピラトの「真理とは何か?」の問いに
イエス様は御答えにならず、
ピラトも再びは問わず、
群衆の力により
十字架になだれ込んでいきます。

・・・・・・・・・・・・

休憩後

判決の場面に入りました。
21.Bibeltext

先生のエヴァンゲリスタから。

兵士は茨で冠を編むと
それをイエスに載せ、
紫の衣を着せて言った。

21b. 合唱
Sei gegrüßet, lieber Jüdenkönig!
(合唱)「ごきげんよう、ユダヤの王様よ!」
・・・・・・・・・・・・・・

レガートに歌わず、良いテンポをもって。
アクセントはkönigにあります。
Jüdenkönigはノンブレス。

そして、先生のエヴァンゲリスタ・・・・

そして彼を平手打ちした。

ピラトは再び外に出てきて、ユダヤ人たちに言った。
(ピラト)「見よ、私は彼を連れ出そう、
彼に何の罪も認めないことを おまえたちに教えるためだ」
イエスは外に出されたが、
茨の冠と紫の衣を身につけたままだった。
そして、ピラトは彼らに言った。
(ピラト)「見よ、この人の様を!」
祭司長と従者たちはイエスを見て、
叫んで言った。

21d.
Kreuzige, kreuzige!

「十字架につけろ!十字架につけろ!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ピラトの「見よ、この人を!」は絵画の題材にも
沢山されていて、
ご覧になった方も沢山いらっしゃると思います。

Kreuzige, kreuzige!
は、美しい声で。
2声が合わせて入るKreuzigeは、合わせる意識を持って。


・・・・・・・・・・・・・・
ピラトは彼らに言った。
(ピラト)「自分たちで彼を連れていって、
十字架につければいいだろう、
私は彼に何の罪も認められない!」
ユダヤ人達はピラトに答えた。

21f. 合唱
Wir haben ein Gesetz, und nach dem Gesetz soll er sterben;
denn er hat sich selbst zu Gottes Sohn gemacht.
「私たちには律法があり、
それによれば彼は死ぬべきだ。
なぜなら 彼は自らを神の子と称したのだから」
・・・・・・・・・・・・・・・・・

この合唱・・・佳境まっただなかなのに・・・
けっこうセリフを忘れていて、
様にならず・・・反省。

なんだか、ここの所、毎回最後の歌が
シマラナイ感じで終わってしまい、
次週持ち越しが多いので、
来週こそは頑張ろうと、心に誓う私でした(*^_^*)







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歌の力で心を揺らす [ヨハネ受難曲]

2011年5月27日の練習

11番コラールから。

Wer hat dich so geschlagen,
Mein Heil, und dich mit Plagen
So übel zugericht'?
Du bist ja nicht ein Sünder
Wie wir und unsre Kinder,
Von Missetaten weißt du nicht.
Ich, ich und meine Sünden,
Die sich wie Körnlein finden
Des Sandes an dem Meer,
Die haben dir erreget
Das Elend, das dich schläget,
Und das betrübte Marterheer.

誰があなたを そんなに打ったのですか?
私の救い主よ、誰があなたに多くの苦労を
そんなにひどく負わせたのですか?
あなたは決して、私たちや私たちの子供たちのような
罪人ではありません。
あなたは悪事を働いたことなど身に覚えがないのですから。

私です、私と 私の多くの罪、
それが海辺の砂粒のように
尽きることなくあり、
それが あなたの身に引き起こしたのです、
あなたを打つ苦しみと
悲しい多くの責め苦を。

・・・・・・・・・・・
何度も練習している曲なのですが、
やはり、二番になると、楽譜から目が上がりません。
もう少し、上げられるようになると良いのですが。

フェルマータまでを、大きなワンフレーズに
とらえて、音楽をブツブツ切らないこと。

・・・・・・・・・・・
次に、先週、崩壊した(^^;、
12番を練習しました。

12b. 合唱
Bist du nicht seiner Jünger einer?

何度か、パートごとに練習して、
ゆっくり合わせました。
ちょっと、アンサンブルに聞こえますよ、と、先生の御言葉。
最初からそのくらい歌えるといいのですけど・・・。

・・・・・・・・・・・
次に、14番コラール

14. コラール
Petrus, der nicht denkt zurück,
Seinen Gott verneinet,
Der doch auf ein' ernsten Blick
Bitterlichen weinet.
Jesu, blicke mich auch an,
Wenn ich nicht will büßen;
Wenn ich Böses hab getan,
Rühre mein Gewissen!

ペテロは主の言葉を思い返さず、
自分の神を否定しました。
しかし彼は主の真摯な眼差しにあって
激しく泣いたのです。
イエスよ、私にも眼差しを向けてください。
私が悔いあらためようとしない時には。
私が悪事を行ってしまった時には、
私の良心をゆさぶって下さい!

・・・・・・・・・・・・・

一部の最後の曲ですし、
そんなにうるさく歌ってはいけません・・・と、先生。

この曲は、最初はペテロの行った事実を伝え、
その事にもとづいて、
自分の内面に降りていきます。

その変遷を、意識して、
Jesu, blicke mich auch an,
Wenn ich nicht will büßen;
からは、パッと気持ちを変えて。

Jesu, blicke mich auch an,
と歌って、さらに、強く歌ってWenn ich nicht will büßen;がある。

そして最後に締めくくりがある。
Wenn ich Böses hab getan,
Rühre mein Gewissen!

Rühre mein Gewissen!
は、ちゃんと気持ちも声も揺らす。
ソプラノ、アルト、テナーと
揺れる音型が続いて、
良心を揺さぶる様が描かれているのを、
感じるように・・・

先生が、一度、その様をソプラノ、アルト、テナーと
続くメロディを繋げて歌ってくださいました。
歌の力で心を揺らす、と。

そうしたら、みんな、納得いったのか、
次に歌ったときは、上手くいき、
今のは、良い響きでしたね、と、
珍しく先生に褒められました(*^_^*)

・・・・・・・・・・・・

ここで、一部が終わって休憩があります、と、先生。
一応、みんな座って休んでみました(^^)
2部が長いし、たたみかけるように
曲が続くから、
真剣に、体力づくりを考えていると、先生はおっしゃって
団員の微笑みを誘っていらっしゃいました。
(私たちも、体力つけなくてはね~)

・・・・・・・・・・・・・

次に15番コラール

15. コラール
Christus, der uns selig macht,
Kein Bös' hat begangen,
Der ward für uns in der Nacht
Als ein Dieb gefangen,
Geführt für gottlose Leut
Und fälschlich verklaget,
Verlacht, verhöhnt und verspeit,
Wie denn die Schrift saget.

私たちに幸せをもたらすキリストは
何の悪事もしていないのに、
私たちの代わりに、夜中に
盗人として捕らえられました。
神を恐れない人々の前に連れだされ
虚偽の罪で捕らえられ、
嘲られ、侮辱され、唾を吐かれました。
それは聖書が語っているとおりなのです。

・・・・・・・・・・・

フェルマータに向う歌い方は、
少し見えてきました。
と、先生。

次回は、この続きを。
それから、1番と、39.40番はいつも歌えるように、
見ておいて下さい
・・・と先生の御言葉でした。


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オーケストラの終止音 [ヨハネ受難曲]

2011年5月26日の練習

今回は、第一部、一曲目から練習いたしました。

第1部
1. 合唱
Herr, unser Herrscher, dessen Ruhm
In allen Landen herrlich ist!
Zeig uns durch deine Passion,
Daß du, der wahre Gottessohn,
Zu aller Zeit,
Auch in der größten Niedrigkeit,
Verherrlicht worden bist!

主よ、私たちの支配者よ、あなたの誉れは
全地に輝いています!
 私たちに示してください、自らの受難を通して、
 真の神の子であるあなたは
 あらゆる時に、
 大いなる低みに達した時でさえ、
 栄光を受け賛美されてきたということを! 


ソプラノ、最初のHerr、と三回歌う、その
和音を練習し、
三回目から、その和音遡って、和音の確認をして、
もう一回歌ってみる練習を
いたしました。

この最初の呼びかけは、
力まない、縮こまらない、頑張らない、
美しい声で。

メリスマの上がっていく、ラインの音が見えるように。
つまり、21小節ソプラノであれば、
G-A-H-C-Dと上がっていくラインが聞こえるように。
成長していくこと。

28小節のRuhmは柔らかく、美しく響かせて。

バス、52小節目の、Eナチュラルのキャラクタが
分かっていない。
どういう和音にいるのか、把握して。

テナー。何度も出てくる
dessen Ruhm
In allen Landenの入りを明確に。

70アウフタクトからのフォルテ、
メリスマの音階のラインを感じて。

86小節、
いままで、最低の所にいて、
Verherrlicht worden bist!
と、フォルテに戻る所、バンっと戻って。


そして、続く先生のエヴァンゲリスタの歌・・・(*^_^*)

イエスが弟子たちと共にキドロンの川を渡っていくと、
そこには園があり、
イエスと弟子たちはその中に入って行った。
またイエスを売り渡したユダもこの場所を知っていた。
イエスはしばしばこの場所で
弟子たちと集まっていたからである。

そこのユダは大勢の兵士、
祭司長とファリサイ人の従者を引き連れ、
たいまつ、ランプ、武器などを持ってやってきた。
イエスはその時には、自分に起こることをすべて理解していたので、
出て行って彼らに言った。
(イエス)「あなたたちは、誰を探しているのか?」
彼らは答えた・・・


これが、また、素晴らしかったのですね~先生のエヴァンゲリスタ♪
何ていっても、終止音まで、歌ってしまわれるんですよ~♪
それで、分かりますね。音楽は、歌っている場所で終わりではなく、
オーケストラの終止音で終わりだということが。


2b. 合唱
Jesum von Nazareth.

(合唱)「ナザレのイエスを」

続いて、
2d. 合唱
Jesum von Nazareth.

3番コラール、5番コラール、
11番コラールと続き、

次に、先生がエヴァンゲリスタを歌われて・・・

我々が12番
12b. 合唱
Bist du nicht seiner Jünger einer?
・・・を歌おうと思って、崩壊いたしました(爆)
これは、次回に・・・

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エヴァンゲリスタの空気 [ヨハネ受難曲]

2011年5月13日の練習

22番コラールから。

22. コラール
Durch dein Gefängnis, Gottes Sohn,
Muß uns die Freiheit kommen;
Dein Kerker ist der Gnadenthron,
Die Freistatt aller Frommen;
Denn gingst du nicht die Knechtschaft ein,
Müßt unsre Knechtschaft ewig sein.


あなたが囚われたことで、神の子よ、
私たちに自由がもたらされたのです。
あなたの牢獄は恩寵の座であり、
信仰深い人々の隠れ家なのです。
なぜなら、あなたが隷従の身を受け入れなければ、
私たちの隷従は永遠に続いたに違いないのですから。

4小節目 kommenは、行って戻るように。
ソプラノはkom-で歌って、終止の気配がないので、
少し弱めて、終わりにもっていく。
kommenのmの発音を口の奥の方で発音していて、
最後に繋げる。

次に、先生は23aのエヴァンゲリスタを歌ってくださり、
23bに入る練習をしました。

23b. 合唱
Lässest du diesen los, so bist du des Kaisers Freund nicht;
denn wer sich zum Könige machet, der ist wider den Kaiser.

ソプラノとアルトが、14小節のdenn wer sichとハモッて、
一緒に入る所は、バーンと一緒に響いて入って欲しい。

そして、またまた、先生がエヴァンゲリスタを(*^_^*)
23cピラトから、エヴァンゲリスタに、そして、我々合唱。

23d. 合唱
Weg, weg mit dem, kreuzige ihn!

美しい声で。まずは、美しく、どんなに切迫した内容でも。
激しくて速くても、美しく。

59小節、8分音符と16分音符の間に少し隙間を。ここは、リズミックに。

そして、23eと、物語のように、進みます。

先生のソロ、エヴァンゲリスタと、ピラト。
ピラトは彼らに言った。
(ピラト)「私がお前たちの王を十字架につけて良いのか?」

23f. 合唱
Wir haben keinen König denn den Kaiser.

「私たちには皇帝以外に王は無い」

という群衆のセリフを合唱で歌います。

(ヨハネによる福音書には、イエスの死に自分は責任はないと、
群衆の前で手を洗う
ピラトは書かれていません。
それは、マタイによる福音書に書かれています。)


歌う時に、
Königにアクセントを。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ここで、練習は休憩。

24番バスアリアに付く、我々の、Wohin ?
の練習です。

49小節からの練習。Wohin ?と、歌うセリフは短いのですから、
息を、そんなオーバーアクションで吸わないこと。
何度も続きますが、一回一回リセットしないこと。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
25
エヴァンゲリスタの感動的な、歌があります。
以下エヴァンゲリスタ

ピラトは罪状書きを書き、
それを十字架の上に掲げた。

「ナザレのイエス、ユダヤ人の王」
(ここの音が、もう、感動的で、涙なくしては、聴けないのです。
バッハってば、凄すぎます)

多くのユダヤ人がこの罪状書きを読んだ。
なぜなら、街に近い場所で、
イエスは十字架につけられたからである。
それは、ヘブライ語、ギリシア語、
そしてラテン語で書かれていた。

そこで、ユダヤの祭司長たちは、ピラトに言った。

25b
25b. 合唱
Schreibe nicht: der Jüden König,
sondern daß er gesaget habe: Ich bin der Jüden König.

「「ユダヤ人の王」と書かずに、私がユダヤの王であると騙った」と書いてくれ。」

アクセントが無いから、平坦なので、
Königにアクセント。
23小節の3拍め
バスとテナーは、ビシっと揃えて、Schreibe nichtと入って下さい。

そして、25cを先生が。

ピラトは答えた。
(ピラト)「私が書いたものは、私が書いたとおりのままである」
ああ、私にとっては、ここも、感動の場所です・・・

ピラトはイエス様の事をそう思っていたのです。
「ナザレのイエス、ユダヤ人の王」と。群衆より深く理解してたのです。

本当は、イエス様は、ナザレ人ではありませんし(ベツレヘムでお生まれになりました)
正確に言いますと、どこの人でもありません・・・いえ、すべての所の人の子とも言えます。
ペテロが語った言葉が、
一番イエス様を正確に現しているのではないでしょうか。

「あなたはメシア、生ける神の子です」

さてさて、
物語は、十字架につけられたイエス様の所に来てしまいました。

先生は、25cの
ピラトは答えた。
(ピラト)「私が書いたものは、私が書いたとおりのままである」

これを、本当に、優しく美しく歌われました。
人々の無知を慰めるように・・・
これを聴けただけでも、
今回、練習に来たかいがあるというもの(*^_^*)


しかし、次の我々の26番コラール・・・

26. コラール
In meines Herzens Grunde
Dein Nam und Kreuz allein
Funkelt all Zeit und Stunde,
Drauf kann ich fröhlich sein.
Erschein mir in dem Bilde
Zu Trost in meiner Not,
Wie du, Herr Christ, so milde
Dich hast geblut' zu Tod!

私の心の奥底では、
ただ あなたの名前と十字架だけが
いつも、どんな時でも輝いていて、
それで 私は喜んでいられるのです。
その姿を 私の前に現し、
苦しんでいる私を慰めてください、
主 キリストよ、あなたが とても穏やかに、
死に至るまで血を流した姿を!


それが・・・我々は、
先生があーんなに、エヴァンゲリスタを優しく歌われたのに、
無神経に、26番の入りを歌ってしまいまして・・・(^^;
イ~~ンマ~イネ~ス・・・ナンチャッテ。

先生に、エヴァンゲリスタの空気を壊さないように、
入ること・・・と注意されてしまいました、トホホ。

最後に、27b、この速い曲を歌って
今回の練習は終わりになりました。

次回練習は、今回の続き、それから、
1部の最初も見ておいて下さいと、指示がでました。




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入りの練習 [ヨハネ受難曲]

2011年5月6日のレッスン

15番から入りました。
第2部
15. コラール
Christus, der uns selig macht,
Kein Bös' hat begangen,
Der ward für uns in der Nacht
Als ein Dieb gefangen,
Geführt für gottlose Leut
Und fälschlich verklaget,
Verlacht, verhöhnt und verspeit,
Wie denn die Schrift saget.

私たちに幸せをもたらすキリストは
何の悪事もしていないのに、
私たちの代わりに、夜中に
盗人として捕らえられました。
神を恐れない人々の前に連れだされ、
虚偽の罪で捕らえられ、
嘲られ、侮辱され、唾を吐かれました。
それは、聖書が語っているとおりなのです。


フェルマータの和音を気をつけて。
テナー、16小節のGisの音、ちゃんと下がる事。

そして、そのまま、16aを先生は、
美しく、歌って下さいました。

エヴァンリストのパートと、ピラトのセリフです。
ああ、うっとり・・・(*^_^*)

{人々がイエスをカイファの所から総督官邸へ連れて行くと、
夜明けになっていた。
ところが人々は総督官邸に入らなかった。
それは、彼らが身を汚さずに
過越の食事をしようとしたためであった。

そこで、ピラトは彼らの前に出て来て言った。
(ピラト)「何の罪でお前たちは
この者を訴えるのか?」

彼らはピラトにこたえて言った。}

ここからは、我々が歌います。
つまり、合唱の入りの練習です。

16b. 合唱
Wäre dieser nicht ein Übeltäter,
wir hätten dir ihn nicht überantwortet.

「この男が罪人でなかったら、
あなたに引き渡したりはしていない」

この合唱の入りは、のんびり入らない。
先のエヴァンゲリストのテンポではなく、
もう、エンジンがかかっていて、速度をもって、
入ること。
しかし、どんな時でも、どんなに過激な内容でも、
声は美しく、と先生。
ソプラノ14小節の半音階きちんとピッチを揃えること。

次に、
16d。

16d. 合唱
Wir dürfen niemand töten.

öの発音に注意。ウーにならない。エを混ぜて。

この曲もエヴァンゲリストが歌った後の入りから練習しました。
エヴァンゲリストの厳粛な空気を壊さないように(笑)
ソプラノ、55から、タイで繋がった音に重きを置いて歌うこと。

18bも入りの練習。

18b. 合唱
Nicht diesen, sondern Barrabam!
ソプラノ21のオクターブ上がる所が
壊れるので、気をつけて。

そして、先生は、最後の2曲を今回も、練習しようと
おっしゃって、
39と40番コラールを練習しました。

39番
auchはアウフという発音にならないように。
少なくとも、fの発音にならないこと。
美しい発声と美しい姿勢で。
バスの29小節の-neは美しく収めること。
押し出さない。

ソプラノの、跳躍の難しい、45小節の終わりは、
みんなで、半音上げて発声を練習して、
その後に、戻して歌ってみました。
やっぱり、上げておくと、後は楽です。

負荷をかけておくと、取り除いた時に、
楽々と跳躍出来るような感じです。

しかし、ここは、本当に柔らかく上がるのは難しいです。


次回の練習も、2部を中心に歌っていく模様。

いよいよ、研磨作業・・・
美しい玉になれるでしょうか。


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さち先生・バッハ平均律コンサート・その2 [J.S.バッハ]

後半は、13番プレリュードから。
フーガは、復活を思わせるような明るい曲調で、
軽快に、キラキラした音色で、さち先生は弾いていらっしゃいました。

14番は、トッカータ風の速いプレリュード。
14は、バッハの数字。
フーガのテーマは、ついハミングしていると、
この曲だった・・・というように、回るテーマの上位を争います(笑)
さち先生は、思ったより、きっぱりとこの曲を弾かれて、
次の速い15番へと、入られました。

16番
繊細なトリルが印象的なプレリュード、
対照的に、決然として力強いフーガ。
でも、各テーマがきちんと聞こえるのは、感動ものです。

17番
バッハはやっぱり、三回繰り返すのが好きなのか、
それが、音楽のセオリーなのか、
同じ音形が三回出てきて、だんだん盛り上がっていくのですが、
さち先生は、本当に、趣味の良いデュナーミクで
上がっていき、音楽を構築なさいます。
フーガは、柔らかい音色でありながら、
テーマが際立ち、どうやったら、そんな風に弾けるのでしょうね。

18番
ああ、聞いていて思い出しました。
このフーガ、短調の和音で終わるのでしたね・・・
バッハにしては、ちょっと珍しい方の曲でしょうか。
とはいえ、それが普通なんですよね。
バッハは、短調の曲でも最後の和音が、長調の和音というのが、
多いのですよね。希望の光がそこに見えるように。

19番プレリュード
長調の中で、本当に好きな曲なんです・・・。
聞いていると、うっとりとしてしまうのです。

フーガも、とってもとても好きなのです。
それが、実は、変わったテーマだなぁ~って、昔から思っていたのですが。
だって、八分♪音符一個弾いて、あと、八分休符がみっつもあって、
次に八分音符がまた、たたたと、続くのですけど、
テーマが、最初の八分音符で、切れてしまって聞こえて、
妙な音楽、でも好き・・・とか、思っていたのですけど、
それが、びっくり。
さち先生が弾くと、その間の休符で、テーマが切れないのです。
これは、私、ちょっと、卒倒するくらいのショックでした。
凄い!切れない!音楽が切れない~~~うわ~~っ。

そういえば、福島先生も、よく、歌っていて、ここに休符はあるけれど、
休符で音楽が切れないように歌って、と、おっしゃるのですよね。
内心、そんなのできないでしょ、物理的に・・・(心理的には繋げますけど)
な~んて思ったりする事も、あったのですが、
なんと、出来るのですね。出来る人には。

とっても高度な音楽性と、テクニックが入用な気がします。
それにしても、鍵盤で、あそこまで見事にテーマを繋げられると、
もう、脱帽です。素晴らしすぎます。

このリズム、この高揚感。本当に素敵な演奏でした。

それでもって、20番への入りがまた、カッコイイのですよね~。
迫力の演奏に、うっとり・・・♪
そして、この4声フーガ。これも、歌ってしまえるテーマなんですけど、
長いです、この曲。
カッコイイけど、体力が必要ですね。

21番のプレリュードは、途中の和音をバラバラって弾くのがとっても好きで。
その和音がうっとりする音色なのですよ~。
でもって、この曲、一番プレリュードがプレリュードらしいというか、
次のフーガと繋がって聞こえるというか。
二つで一個のまとまった曲っていう感じがしました。

22番プレリュード。20小節から、盛り上がっていく所が好きなんですけど・・・
なんて、ああ、なんという印象的な批評ともつかぬ文章・・・。
すみません、ご容赦くださいな。
この5声のフーガは、圧巻でした。
もともと、五指に入るほど
好きなフーガです。

この演奏は、本当に素晴らしかった。
現実が乖離していくような、美しいテーマで、
聞いているだけで、何処か遠くに行ってしまいます。
そう、どこか遠くというのは、ある意味、正しくて、
きっと、そいういう音楽は天界に属しているのだと思います。
音楽と現実が融合するような・・・
自分と世界が混ざるような。

23番・・・
ああ、もうすぐ終わってしまう・・・
このフーガのテーマも大好きで、
優しく美しくそして、柔らかく終わり・・・

最後の24番。
プレリュード・・・言葉もなく。
このロ短調の美しい、音の連なりを
さち先生は、淡々と、しかし、階段を上るように
着実に弾いていかれました。
ヤコブの天国への階段のように。

高音の音色が、まるで、弦をハーモニクスで、弾いたように
美しく、優しく透明な音で。不思議なメロディを奏でていくのでした。
しかし、本当に、弾く人によって、ピアノはこうも
違った音がでるのでしょうか。
何が違うのか、
ペダルやら、キィへの圧力やら、音符への思いやら・・・


終曲のフーガです。
これは、三指に入るほど好きな曲ですが・・・。
ずっと聞いていたら、きっと、本当に何処かにいってしまうでしょうね。
音楽に終わりがあるのが、悲しいのですけど、
どこかしら、ほっとしている私が居ます。
ずっと聞いていたい、さち先生の平均律を。バッハを。
そんな思いか、どんな思いか、
最後の音符が一番美しいことを
記憶に留め・・・。



終わりました。


惜しみない拍手、
ブラボーの声、
アンコール・・・

しかし、あの、美しい音符の後に弾ける音が
あるのでしょうか・・・

ご友人のヴァイオリニスト、Sさんが、
1番をリクエストされ・・・
さち先生は、もう一度1番プレリュードを
演奏されました。

円環となる音楽。
終わりが始めであり、始めが終わりである。
アルファにしてオメガ。

そうして、この音楽会は幕を閉じました。





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さち先生・バッハ平均律コンサート・その1 [J.S.バッハ]

2011年4月30日
小沢さち・ピアノによる、
バッハ平均律クラヴィア曲集・1
全曲演奏コンサート

とても楽しみにしていた、日がやってまいりました。
バッハの平均律の全曲を、通して聞ける・・・
しかも、小沢さち先生のピアノで。

こんな、幸せな事って、
一生において、そう度々あることではありません。
神様に感謝いたします。
そして、それをやり通した先生に
本当に感謝します(*^_^*)

ぶつぶつ切られる事の多い、平均律が
一挙に。
全体を見通せますし、全体があってまた、細部が見えてきます。

しかし、演奏家にとっては、
おそらく、一番大変な演奏。
体力も集中力も、なにもかも総動員しなければなりません。

演奏会は、一番有名な、例の1番のプレリュードから、始まりました。

この美しい、単純なアルペジオを聴きながら、思うことは、

本当に、和音というものは、いったい、
どうして人間にこう、
幸せな気持ちを、呼び起こさせるのでしょう。

ハルモニアを感じる瞬間、人は、自分は、
孤独ではないと。
いろんな物に助けられ囲まれて
調和しながら生きているのだと、
そう、感じられるからかもしれません。

C-durの4声のフーガ。
ハ長調だからと言って、簡単ではなく、
ストレッタだったりして、演奏はけっこう面倒。
しかし、全然そんな事感じさせずに、
さち先生は、弾いていらっしゃいます。

2番のプレリュード。
まあ、なんて速さ(*^_^*)カッコイイ。

3番も軽快そのもの。

そして、私の大好きな4番です。
このcis-mollのフーガは、
有名なもので、
十字架音型がテーマになっています。

その4つの音符は、
十字に、釘を打つ音。
イエス様の受難の象徴に使われます。

その音型と、
それを包み込むように
諦観をたたえた優しい音楽で、
その中に、模様のように、
十字が組み込まれているわけですが、
これは、さち先生凄かったです。
その悲しみと、優しさと、
十字を打つ厳しさと。

最低音の十字が刻まれる
73小節目は、もう、何ていうか、
言葉に出来ません。

5番、無窮の動きをする、プレリュード、
強いリズムの付いた4声フーガ。
軽々と、さち先生は、弾かれていました。

そして、私の好きな7番。
プレリュードでありながら、
途中からフーガになってしまうこの曲。
そのフーガからの音色が、
前置きと全然誓って、ものすごく、ソフトで
うっとり・・・(*^_^*)

思えば、さち先生の平均律を、初めて聞いた時、
この曲も含まれていました。
その日を、懐かしく思い出しながら・・・
フーガの方は、ほとんど、切って演奏なさって、
可愛い感じで、とっても、プリティな雰囲気。

8番プレリュード、強く弾く人は、この最初の和音、
バーンと強く弾くんですけど、
さち先生は、ソフトにしかし、
決然とした感じで弾いていかれました。
その、強弱がとっても心地よく・・・。
フーガは、切なさを湛えて・・・
フーガでありながら、カンタータのアリアのように
歌っています。

歌っているといえば、9番のこの美しいプレリュード
3声のフーガは、リズミックに、しかし、テーマは
きちんときわだって聞こえます。

劇的な10番プレリュードそして、10番フーガ。
10番フーガは2声でありながら、
とっても速く演奏されるので、演奏効果の上がる曲だと思います。
そして、この曲は、思い出の曲でもあり・・・
R先生は、この曲をのフーガを、
神殿の幕が二つに裂けるように、終わる・・・とおっしゃったのですよね。
まさに、劇的な演奏でした。

11番プレリュードは、なんかちょっとインヴェンションを思い出してしまう
曲でありますが、このような曲でも、歌えるさち先生は、凄いです。

そして、前半のラスト
私の大好きな12番です。
このフーガのテーマが・・・
聞こえてくると、精神がどこか遠くに行ってしまうのです、私は。
それほど、好きな曲を、
こうも見事に演奏されると・・・
帰ってきません、現実に。
戻ってこられません、この地上に。

前半が終わって、遠くに居る、私でした。

・・・・・・・・・・・後半に・・・つづく。




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